しゃおめいの”無邪気でいたい”

台湾から帰国して、再び日本社会で生きる!癌克服回顧録から地方移住までの記録

近所の喫茶店にてーコロナ・移住の受け止め方の違いー

 

今日はこの街に来て、割とすぐに行った喫茶店へ、とても久しぶりに行きました。

ここのマスターがおしゃべり好きでいつも長くなるので、割と覚悟していかないといけない店です。

 

旅や知らない街へ越した時、私がよくやる情報集め方法のひとつ、

それはその土地のカフェや喫茶店、または美容院、つまり割と長く話ができるお店へ行って、その土地のおすすめのお店や医者を聞くという方法です。

旅の場合は、宿の人に聞くのが一番早いですが、私の経験上、ネットで情報集めるより、はるかに生活に密着した有益情報が得られます。

この喫茶店はこの土地でその最初のお店でした。

 

今日は雨のせいか、私が店へ入った時、誰もいませんでした。

このお店のキリマンジャロが好きですが、今日もなかった。

キリマンジャロはもうここ数年、大手コーヒーショップに豆を取られて手に入れるのが難しいそうです。

結局おすすめのコスタリカ

 

コーヒーとケーキを待っていると、マスターが運んできました。

ご夫婦2人で切り盛りされていますが、なんだか2人ともこんなに青白い顔だったっけ?

「どうしてた?元気にやってた?」どうやら覚えててくれたようでした。

「お久しぶりです。おかげさまで元気です。コロナ後どうですか?」そう聞くと、マスターは手を広げて、店内を見回した。

「これが現実だよ」

 

 

いつも私が座った席の隣席にかけて、いろいろおすすめの本や雑誌をテーブルに持ってくるけど、今日は持ってこない。「どうしてるの?最近」とまた聞いてきた。

 

「実は移住することにしました。去年の台風で被害も出て、そこに今年のコロナでもうここには住めないなと思ったので。」

これは私の本心

でもきっとこの土地でずっとやってきている人にとっては、ムカつく言葉なのかもしれません。

「まあ、ここにいようが田舎に行こうが同じだけどね。で移住してどうするの?」

 

災害が自分の身にふりかかかる可能性は、おっしゃる通りどこにいてもさほど変わらないと思う。

でも地方は人口が違う、土地の値段が違う。コロナは人を介して感染する、感染リスクは同じではない。今後コロナ以外の感染症が蔓延する可能性だって大いにある。人口が密集した都市部は感染症に弱い。

 

一応、自分の思い描く思いつきの夢物語を話してみたけど、

「そのプレゼンじゃあまだまだだな。」とダメ出しされた。

 

「田舎もね〜いろいろあるよ、いけばわかると思うけど。こことは違う。何かやろうとしたって、口ばかりの人が多い。やりたい人はみんなこっちに出てくる。」

マスターが東北出身ということは、割と最初の方で話題に出た。こういう言い方をするということは、何かあったんだろう。

 

とはいえ私も田舎出身者、田舎事情は多少分かった上での移住の決断だ。

もちろん、短期滞在と居住は全く違うことも、今までの経験から十二分に分かっている。

「私の地元も口先だけでアクション起こす人は少ない。だからずっと田舎なんですよ」

そう言って、自分の言葉に改めて納得する自分がいた。

でもね、自分で言っておいてなんだけど、5年首都圏で暮らして分かったことは、何かをやろうという面白い人は確かに割合として多い。でもそれは、首都圏人口を考えれば自然なことで、付き合う人脈が変われば、田舎とそんなに変わらないということ

何を田舎と定義するのかによるけど、私の中では世田谷もど田舎だと思っています。コロナ蔓延でよく分かったひとつ

要するにどこにいようが、自分のスタンスや行き先次第で、付き合う仲間、周りの人たちは変わっていく。私はむしろ今、面白い人は地方へ出始めていると実感している。

 

移住先へ始めて赴いた日、実は記録的豪雨でひどい天候でした。

川は荒れ果て、濁流、増水。地元の人々はこんな景色じゃないんですよ〜いつもは〜とすごく残念がっていたけど、

私はこの状態を見られてラッキーだったと思いました。なぜなら豪雨での災害度合いが見れたからです。

ネットで調べても、町のいい情報は容易にわかるけど、こういったひどい光景や問題はなかなかネットで見れません。

静岡と聞いて、=地震、噴火 と災害のイメージがすぐにわくかもしれませんが、もちろんかなり調べて、川の様子も見て決断しました。

それに、静岡は昔から地震、噴火の脅威に晒されているだけあって、防災意識が非常に長けています。川に沿ってダムの方へも連れて行ってもらいましたが、公共設備、防災設備がものすごくしっかりしている印象です。

むしろ東京が直下型地震、豪雨災害が起きたら?また電車が計画運休だから右往左往?正直東京は防災対策も人々の意識も静岡より低いと思います。

 

マスターは、「台風で多摩川沿いの家を売った人がほとんど都心へ引っ越した。これからはタワマンも増えるだろう」と、にわかに信じがたい発言

パンデミックで、ロックダウンになれば、一番不自由で危険な場所は都市部です。また一級河川に挟まれた東京のハザードマップを見れば一目瞭然で、水害を免れるであろう小高い住宅地はどこも密集していて地震が起き、二次災害で火災が起きたら一帯危ないでしょう。

タワマンは去年の台風被害で武蔵小杉の散々な結果を見れば、絶対住みたくなくなります。

台北在住時、私も27階建て高層マンションの25階に住んでいましたが、まあ、エレベータ4基あってもめちゃくちゃ不便ですよ。しかも25階までも蚊は来ます苦笑 

 

マスターは続けて、「航空会社はどうなるんだろう?潰れちゃうの?とか、メガバンクの支店が今後1/3に減るんだって!そうしたら他の小さい銀行はどうなるの?リストラは必至、今はもう大変な時代だよ…」と言ってきましたが

「いいんじゃないですか?多少縮小したって困らないですよ。」とまた本音を言ってしまって、私も本当に可愛くないやつです。

 

主人にこの話をすると、

「たぶん、大変だね〜、おたくも〜って言い合いたいだけだったんじゃないの〜」と言われて、なるほど、そう言うことかと腑に落ちました。

 

 

今日はコーヒーとケーキを平らげると、店を出ました。

お会計時、奥さんに「いつ引っ越すんですか?」と聞かれて「今年いっぱいはいます。」と言うと、「そうしたらまだ余裕がありますね」と言われたけど、たぶんもうここには来ないだろうと思いました。

 

いつの間にか、私たちの心はもうこの街にはないようです。